当「辻与旅館」は、犬養毅元首相、笠岡市出身の日本画家小野竹喬らが何度も通った老舗です。
当館の前身は江戸時代から続いていた海産物問屋。
高松藩の御用問屋として塩や海藻・干物を販売していました。
旅館はもともとは問屋の蔵だったのですが、商人の宿泊所としても使用していました。
この蔵を旅館として正式に営業を始めたのは1890年ごろ。
現在の建物は約20年前に市の土地区画整理事業に伴い建て替えたものですが、
数奇屋造り風の落ち着いた雰囲気を大事にした建物にしており
以前から引き継いでいる分銅など問屋時代の名残りも残しています。
(分銅:荷物の重さを計るためのもので重さ約50kg、入り口の脇に5個あります。)
下記ビデオは、笠岡放送で紹介していただいた時のビデオです。
五・一五事件で射殺された元首相:犬養毅は、明治初期に笠岡市周辺が 「小田県」と呼ばれていたころの県職員でした。
犬飼毅の縁戚にあたる当館には、犬養毅の礼状や書などを大切に保管しており、その一部を「木雲の間」に飾っております。
小野竹喬は、生家が当館の目の前で、かっては身内のような付き合いをしてきました。
そのため竹喬の掛け軸や絵も大切に残しており、その一部を「竹雲の間」に飾っております。
竹喬特有の柔らかい線と温かみのある色調が当館に一層の深みを与えてくれているようです。
当館では、これらの書・絵画・歴史的品物を笠岡の町の歴史を伝える貴重なものとして大切に残して伝統を引き継いでいきたいと思っています。