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貞享四丁卯年初秋
在田軒道貞選定

備中国　小田郡・後月郡・浅口郡　三十三所観世音菩薩霊場

甲弩郷史談会



上記書籍より以下引用

本書は、貞享4年8月の開板にかかる小田、後月、浅口の三郡内における観世音霊場を選定し、
巡拝の経路、道程、寺々の略縁起、本尊の大きさ、種別等を簡略に集録したもので、
後の備中順礼記などの先駆をなすものである。

これを選定して版に付した人は在田軒道貞である。
実は選者の名は当初の版本にはなかったのであるが、その後の研究により、新賀安養寺の旧記、走出持宝院の過去帳の記載などから道貞であることがわかった。

道貞がこの霊場を選定した理由は、父の菩提のためであるとのことであるが、丁度、この時期は元禄文化の開花する少し前であり、
寛永15年の島原の乱が平定してからおおよそ50年うちつづく太平になれて
遊山や物もうでに生活を楽しむようになりつつあった時にあたるから、この備中西辺の郡内にも、そういう小さなブームがおきていたのかもしれない。
寺々に附した御詠歌は道貞の自作と考える。

道貞・・・元禄8年12月12日没、法名　釈道貞大信士。新賀地蔵峠の墓地にその墓は現存する。

なお初版は、本文のみであるが300年近い昔の事、三十三所のうち既に廃滅した寺も数々あり、尊像の行方も変転しているので、この度、再版にあたってその次第を明にした。


三十三所一覧

1、真言宗　地福寺　(廃)厳蔵寺　　笠岡市伏越
2、浄土宗　寿正院　(廃)称念寺　笠岡市川辺屋町
3、曹洞宗　威徳治　(廃)宝厳寺　笠岡市正寿場町
4、真言宗　金剛副寺　井原市門田町
5、曹洞宗　三光寺　井原市木之子町
6、曹洞宗　善福寺　井原市
7、真言宗　金敷寺　井原市笹賀町
8、真言宗　高山寺　高屋町
9、真言宗　成福寺　芳井町西吉井
10、臨済宗　重玄寺　芳井町篠原
11、真言宗　正覚院　(廃)明星寺　井原市北山町
12、曹洞宗　永祥寺　井原市西江原町
13、曹洞宗　法泉寺　井原市西江原町
14、真言宗　両山寺　(廃)花蔵寺　井原市東江原町
15、真言宗　千手院　頂見寺　井原市野上町
16、真言宗　小田寺　矢掛町小田
17、曹洞宗　金龍寺　矢掛町小田
18、真言宗　神護寺　笠岡市甲弩
19、真言宗　西方院　矢掛町江良
20、曹洞宗　蓮華寺　矢掛町西川面
21、真言宗　四王寺　(改)妙覚寺　矢掛町東川面
22、曹洞宗　大通寺　矢掛町小林
23、真言宗　観音寺　矢掛町矢掛
24、曹洞宗　瑞雲寺　(改)正音寺　矢掛町矢掛
25、曹洞宗　洞松寺　(廃)常源寺　矢掛町横谷
26、真言宗　棒沢寺　矢掛町東三成
27、曹洞宗　洞松寺　矢掛町横谷
28、真言宗　観蓮寺　矢掛町南山田
29、曹洞宗　長川寺　鴨方町鴨方上之町
30、浄土宗　浄光寺　鴨方町鴨方
31、天台宗　明王院　鴨方町六条院中
32、真言宗　安養寺　笠岡市新賀
33、真言宗　持宝院　笠岡市走出





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