「ピグマリオン」 について
ピグマリオンを知っていますか?
神話に詳しい人なら知っていることと思います。ピグマリオンはギリシャ・ローマ神話に出てくる彫刻師で、女性の像を作ってそれを愛し、愛するあまりそれが本物であると祈り続け、ついにアフロディテ(ビーナス)によって像を本物にしてもらった、と言う人物です。
岩波文庫の『ギリシャ・ローマ神話』を見返すと、ピグマリオンは実際の女性が嫌いで像を作ってたらしいですが……ま、それはいいです。
このピグマリオンの神話から、ピグマリオン効果、と名づけられたものがあります。
あるクラスを二つのグループに分けて試験をし、一方には答案結果を返し、一方には返さずに一人一人を呼び出して「よくできた」と、誉めておきます。そうすると誉められた方は成績が良くなっていくそうな。
本当かどうかは知りません。
実のところ、これは『文章を書くこころ』(外山滋比古、PHP文庫)というのに載っている話です。文章を書く時、誉めてくれる人が周りにいれば良いが、そうでなくても自分で自分を誉めたほうが上達する、というので引用されています。
僕はわりとこれが信じられるような気がします。
人間は失敗から物事を学びますが、それは完成度を高める、という意味が強いのだと思います。初めてやることに対しては、成功しなければ学ぶも何もありません。だから成功した時には、それを誉めてやるのが良いのだと思います。成功した時に誉めてやらないと、それが成功なのかどうかも分からなくなってしまいます。
ここでふと、学校のテストを思い出します。僕はテストの時に、自己採点なんかでは丸はつけずにペケだけをつけていました。つまり、失敗したとこばかりを見ていたのです。僕はおよそ自分の事を誉めたいとは思わないんですが、それってこういう習慣にも一因があるんじゃないだろうか、とふと思ったりします。
自分の事を素直に誉めるのは、難しいことです 自分の事を素直に誉める事が出来るのは、いい事です。
かといって適当に誉めればよいというものでもないので、タイミングや誉め方が肝心かとも思います。禅の言葉に「そく啄同時」という言葉があるらしいです。雛が殻を破るとき、中からつつくのと外からそれを助けるのが一致しないとうまく行かない、という意味です。
要するに、感心した時は感心したと伝えてやればいいのだと思います。
そういうわけで、僕のことも誉めてみて下さい。ピグマリオンみたいにうまく行くかも……?
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