「バランス」 について


 前に、深夜に『ベストキッド』をやっていて(ベストキッドはアメリカの映画で、少年ダニエルが、日系の老人ミヤギさんに空手を習い、強くなっていくという話。「ワックスかける、ワックス拭く」で有名(?)なやつ)、そこで船の上の修行で「バランスが大切なのだ」というようなセリフがありました。
 そして最後の場面、負傷した主人公がそれでも試合に出るという時に、師匠が止めるのに対して、「それじゃバランスが取れないんだ」と答える所があります。
 その時に思いました。
「大切なのはバランスなんだ」
 と。
 大体の物事というのは、ちょっとしたことで行き詰まってしまいます。改革は行きすぎれば破壊を生むし、中途半端なら停滞と混乱を生むだけです。優しくしすぎれば甘えられ、厳しくしすぎれば疎まれる、そんなことです。
 僕はそういう時に、すごく混乱させられます。結局の所その物事をどうすべきか分からなくなるのです。そうしているうち、その物事が一体どんな意味を持っているのかさえ、分からなくなります。
 なにが正しい≠フか分からなくなるのです。
 そういう混乱に対して、僕は正解ではなくて、物事のバランス≠アそ大切なんじゃないんだろうかと考えました。どんな複雑な社会問題、環境問題、精神問題だろうと、必ずそのバランスの取れる所があって、大切なのは正しい≠ゥどうかよりもむしろそこなんだ、と思うのです。
 ただし、ここでいうバランス≠ヘ、別に二項対立の、シーソーや天秤のようなバランスではありません。どんな多項対立でも、どこかにそのバランスが取れる部分があると思う、そういうバランスです。
 どんな力があろうが、どんな知識があろうが、どんな正義があろうが、それがどんなに正しく見えようが、バランス≠ェ取れていなければ、結局は駄目になってしまう。そうでなければそのどこかで発生した問題に対して、うまい具合に対処することが出来ないのです。
 けれど、バランス≠フ取りかた自体は、人や物事によって大きく違います。
 僕はよく、自分の精神状態の平衡をとれなくなって、それでひどく苦しくなる時があります。早くそのバランスの取れる所が見つかるといいんですけど・・。

戻る