3メートル以下の船
平成15年11月29日施行の新法により、標題の船艇に関して標題通りの対応がとられました。
所謂「トーイボート」として、標題のサイズを限定して提供乃至は使用することが認められた訳ですが、概要は以下の通りです。いまなお誤解があるようですので改めてこの場でお知らせ申し上げます。
- 免許が不要な船舶:
長さ3m未満で、推進機関の出力が1.5Kw(凡そ2馬力:2HP)であり、プロペラによる人の身体の傷害を防止する構造を持つもの。
*プロペラによる人の身体の傷害を防止する構造とは、非常停止スイッチ、キルスイッチ、遠心クラッチ、中立ギヤ等を装備し、プロペラの回転を任意で直ちに停止出来ることができる構造のものか、プロペラ全周及びその奥行全てを被紿するカバーを有するもの何れかとされます。旧式の、ギヤをもたず、停止スイッチを持たないものは、出力規制内であっても規定を満たす改造がされない場合はこの範疇ではありません。
*Kw(キロワット)で表示される機関の出力は、1馬力=0.7355Kwとなりますので、1.5Kwは2.039HPとなり、規定に適合するとされます。この出力を超えるものを改造して使用する場合は、法定の検査団体のもつ出力計にて、改造後の出力数値が連続最大出力であることを証明される必要があります。
*船舶の長さとは、その船体の全長に0.9の係数を掛け、得られた長さを言います。通常のボートといわれる、甲板を持たないものの場合は、全長が3.33m未満のものがこれに大体該当します。カナディアンカヌー等細身で長い舟の場合、2馬力を許容する大きさになりますとこの範囲を逸脱します。よって、予めモーターボートとして設計されたか、それに順当する性格の船体においてこの新法は適用されると判断すると良いでしょう。- 受検が不要な船舶:
長さ3m未満で、推進機関の出力が1.5Kw(凡そ2馬力:2HP)のもの。
これまで、この規定内の船舶を、受検をし使用していた所有者は、検査の有効期間中は「船舶」と看做されますので、免許を受けた船長を乗船させて下さい。即刻無検査無免許使用の「トイボート」とされたい場合は、臨時検査の申請をし、また次回船検を無視せず一旦申請して頂き、その備考目として規定内であることを確認することを願い出た上で、新法適合により船検登録抹消の確認を通してお使い下さい。そのまま使用を続けますと無検査使用となり処罰されることがあります。
これからこの規定のボートを使用したいと思われる方に申し上げますれば、事前に船舶関連法規を学習して頂き、安全装備を購入・搭載してその使用法を会得して、安全にご使用下さい。
折角この新法を歓迎してボートをお求めになったのに、恐ろしくて漕ぎ出せずにいる方が既に相当な人数おられます。何も知らなくても良いという規制緩和(実際は負荷のリストラなのですが)ではありません。やはり知らねばならないことは沢山あります。仮令2バリキでも、人力の十倍の推進力が与えられ、それなり以上の湛航性を齎してくれます。しかし、それを有効に活用する為には、やはり人力以上の知識や装備は必要なのです。また、無検査対象となった船艇は、これまで使用出来たボートヨット保険が使用出来なくなります。自損傷害や他損賠償の為には、新たにスポーツ保険に加入することとなりますのでこちらも御記憶下さいませ。
以上御留意の上、何卒新法をお楽しみ下さい。多くの方の参入を心よりお待ち申し上げております。