ヨットかボートか


私が中学生くらいの時だったと思うが堀江謙一という青年が、17フィートのヨットで単独太平洋横断を成し遂げたニュースは日本中を驚かせ、違法出入国の青年は一夜でヒーローになった
ヨットの名前マーメイド号から、半そでのカッターシャツでマーメイドシャツというのが売り出され親に無理やり買ってもらい学校へ着ていくと皆にうらやましがられたものだ

ヨット(ディンギー)へ私が始めて乗せてもらったのは27歳位のとき、東京の友達が江ノ島ヨットハーバーへY15へ乗りに行こうと言って二人で行ったときのことです

艤装を済ませ、防波堤の中から帆走で出航したが、センターボードを下ろすのを忘れていて、あっと言う間に、右の防波堤に舫っている光進丸のところまで流された
再度センターボードを入れて今度は快調に帆走し江ノ島沖を昼過ぎまでクルージングした

その友達も今は出世して油壷東急マリーナへ34フィートのウエスタリーのセーリングクルーザーを浮かべている
私など労働者は何千万もするヨットは買えないので、中古艇で車の値段くらいのヨットがないか、4級船舶免許を取った10年ほど前はあちこちの
マリーナを探したが、雑誌に載っている手ごろで良さそうなヨットはすでに売れていた
そんな帰り道、笠岡のスズキマリーナ神島へなんの気なしに寄るとちょうど新発売のボートの展示会をしていた

モーターボートは買うつもりはなかったのだが、瀬戸内は風がないからヨットは走らないよと、盛んにボートを薦められ買うはめになってしまった
その船は21フィートのスズキGF21で2年半くらい乗り次は日産のFP700,23フィート、これにも2年半くらい乗り、今のF250になって5年になる
瀬戸内で釣りや海水浴に使うには今の船くらいがちょうどいいのだが、時々友達のヤマハ30のヨットや昔乗ったディンギーのことが忘れられず
いつかは35フィートくらいのヨットが欲しいと思うことがある
ヨットに乗っている人に聞くといいことばかりはなくて、けっこうヨットも大変なんだそうである

夏は凪で走らないので機走、スピードは5から6ノットしか出ない、キャビンは蒸し風呂のように熱い、オーニングができないので日焼けがひどい
など、モーターボートでは考えられないことが起きる
出航の準備は時間がかかるし、セールアップも一人では大変、何よりもタックやジャイブは、最低二人はいないと、セルフタックジブでも付けてないかぎり無理

最近景気が悪いせいもあってか、日本国内ではヨットが売れないらしい、小型の25から30フィートくらいのフィッシングボートはそこそこ売れているのに
自分でモーターボートに乗ってみると、ヨット乗りの方の苦労がわかる
あんな重労働は若者はしたくないよね

それでも、私がヨットにあこがれるのは、高いホームスタビリティー、ロングディスタンス、セーリング中は静かで波の音と、マストやリギンのきしむ
音しか聞こえない、キャビンが広い、バースが多い、なんと行ってもヒールしながら、ハイクアウトしてヘルムをとってる時が最高ですね

理想は、モーターボートとヨットの両方があれば一番いいのだが


                                                     
YOUZOU